Weekly Matsuoty 1999/12/20
生データの料理方法
 
 リサーチの世界では、集計・分析をする前の、アンケート票そのままの入力データや、コールセンターにかかってきたユーザーの問い合わせ内容をベタ打ちした状態のデータを「生データ」という。要するに、「料理」前のデータである。

 生データはそのままでは食べにくく、消化が悪い。そのため、リサーチャー・アナリストといった料理人が、生データを食べやすいように 「料理」することになる。

 料理の手順はだいたい、次のようなものである。

1.食べやすい大きさに加工する。<データの事前処理>

 アンケートであれば、まず大きなくくり(属性、調査テーマに対する現状、調査テーマに対する満足度、調査テーマに対しての意見・要望)にデータを整理する。
 また、自由回答の部分は、例えば意見の傾向を「好意的」「否定的」「中立的」といったパターンに分類して、多種多様な発言内容を理解しやすい大きさ(数)に加工する。これは下ごしらえの段階である。

(注意点)

 生データ自体を採取する時にきちんと考えていないと、下ごしらえが大変になる。自由回答が最も美味な部分だからといって、多く採りすぎると、下ごしらえに時間がかかりすぎて大変なことになるかもしれない。

2.料理人の得意な料理方法を施す。<集計・分析の実施>

 下ごしらえがすんだら、料理人が得意とする方法で料理する。どの項目とどの項目を組み合わせて集計をやるのか、どんな解析手法を用いるのか、料理人にとって腕の見せ所である。

(注意点)

 データの素材の特性によっては、適さない料理方法がある。また、慣れてくると、どんなデータにも同じ料理方法(集計・分析)を惰性でやってしまい、素材のおいしさを引き出せなくなることがある。

4.味付けをする。<集計・分析結果の解釈>

 料理人の個性が最も現れるのが、味付けである。要するに集計結果をどのように解釈するのか、ということである。料理方法はある程度、方法論が確立されているが、味付けはまったくの料理人の裁量である。
 だから、味付けによって、料理人の腕が如実にわかる。

(注意点)

 料理人の中には、味付けにけちをつけられることを恐れ、まったく味付けをしないまま、客に出す者がいる。「結果は××が45%であった」(以上。事実だけ出して何が悪い?)

3.きれいな盛りつけをする。<レポートの作成>

 料理済みのデータは、そのままで出しては高いお金が取れないので、見た目をよくするため、盛りつけに工夫を施す。集計結果をグラフ・表にしたり、カラーにしたりする。

(注意点)

 どんなにきれいに盛りつけしても、料理方法が間違っていたり、味付けがへただと、鋭い客には見破られてしまうので、料理人はまず料理自体の腕を上げる必要がある。

・・・・・・・・・・・

 さて、これまで生データの料理方法について手順を追って見てきたが、客にとっては厨房の中を流れを理解することによって、良い料理人、悪い料理人を見分ける手助けになるだろう。

 最近は扱いにくい生データが増大しているが、料理方法も高度化(高性能コンピュータ、データマイニング、テキストマイニング)しているので、料理人は積極的に新しい料理方法をマスターしていかなければならないし、「味付け」の部分は、経験と知識が明確に反映されるので、料理人の方々には、日夜努力を怠ることなく精進して欲しいものである。
 
close