Weekly Matsuoty 2003/05/13
ETDBW(Easy To Do Business With)
 
三石玲子氏は先月のコラム*の中で、ネット 商売の原点は「利便性」であると述べていた。 具体的には、「好きな時間に利用可能」 「省時間」「チェックアウトに時間を取ら れない」「並ばずに買える」「店員の押し 付け販売から解放される」といったことだ。

このことを最近のキーワードで言い換える なら、

[ETDBW](Easy To Do Business With)

となるだろう。日本語なら

「取引のしやすさ」
=取引のしやすい企業

あるいは、

「つきあいやすさ」
=つきあいやすい企業

とでも訳せる。

さて、このことは何を意味しているのか、 別の視点から考えてみたい。

表面的には、好きな時間に買える、省時間 といった「利便性」の高さが、取引のしや すさにつながるのは確かだ。ただ、気にな るのは、その根底にあるのは何なのかであ る。

私なりにまとめるなら、顧客にとって、取 引しやすい、つきあいやすい相手というの は、顧客の「手持ち資源」をなるべく使わ なくても済む相手、ということではないだ ろうか。顧客の「手持ち資源」のうち、特 に重要なのが「お金」と「時間」である。

顧客にとって、取引しやすい相手(企業) とは、無駄なお金を使わせない、無駄な時 間を使わせない相手である。逆に、無駄な お金、時間を使わせる企業とはなるべく距 離を置きたいと、顧客は思うだろう。つき あいにくい、面倒な相手だからである。

例えば、常連なのに、毎回宿泊カードを書 かせるホテル、ユーザビリティが低く、買 いたい商品を探すのにやたら時間がかかる Webサイト、高いわりに、まずい食事を出す レストランなど、リアル、ヴァーチャル に関わらず、顧客の「手持ち資源」を浪費 させていることに気付かない企業は多い。

三石氏の指摘と同様、取引のしやすさ、つ きあいやすさは商売の原点であって、全て の企業が、最優先で考えるべき点であると 思う。付加価値を云々するのは、これが きちんとできてからにすべきだろう。

*ネット商売の原点 http://japan.internet.com/wmnews/20030422/print8.html
 
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