Weekly Matsuoty 2002/02/06
ブランド疲労
 
 「ユニクロ」のブランド戦略は間違っていたのではないだろうか?

 最近発表された、ユニクロの業績の下方修正(減収減益)に対する驚き以上に、一般消費者として、ユニクロブランドに「飽きた感」を強く感じる。

 以前、あるメーリングリストで議論したことがあるのだが、ユニクロは、トレンドの移り変わりの激しいファッション業界において、あえてベーシックなアイテムに絞り込むことでトレンド変動に対するリスクを回避することに成功した、と私は考えていた。必需品の普段着に流行はあまり関係ないから、安定して売れるという状況を作り出しているということだ。

 それなのに、フリースがバカ売れしている過去2年ほどの間に、なぜ、あの一連のトレンド感を強調するような広告戦略を打ったのか、また大量の露出をかけたのか?

 イメージ広告大量出稿によって、フリースの販売量はさらに拍車がかかったのかも知れない。しかし一方で、ブランドのオーバープレゼンス(目立ち過ぎ)という問題を引き起こした。つまりは、一過性のはやり現象を強化することになった。

 ユニクロは、自らが作り出したトレンドによるリスクに引っ掛かってしまったのだ。皮肉な結果である。

 ブランドを守りたかったら、売れている時ほど、姿勢を低くしてあまり目立たないようにすべきだろう。ブランドも疲労する。連日連夜の連投では、あっという間に消耗してしまう。休養期間を与える必要がある。

 ただ、ユニクロは依然として超優良企業である。毎年倍々ゲームで伸びてきたから、たまにはこうやって足踏みすることもある。あまり深刻に考えるほどのことではないかも知れない。

 それにしても、ブランドの疲労回復には時間がかかりそうだ。しばらくはメディア露出を控えて、おとなしくしておき、製品の品質維持と店舗でのサービスの向上を通じて、地道にブランドの信頼感を醸成するのが得策だろう・・・。
 
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