Weekly Matsuoty 2001/07/24
企業の個性はCRMが生む
 
 小売店において、マーケティング分析に使えるデータは2種類である。商品データと顧客データだ。

 商品データは、主にPOS(Point of Sales)データ、すなわち販売データを分析することにより、主に、売れている商品(売れ筋)、売れていない商品(死に筋)を見つけることに利用する。

 顧客データは、会員カードの発行やポイントシステムの導入により、顧客属性の分析や購入金額や購入頻度、直近購入日等の基準で優良顧客をセグメント化することに利用する。

 ここまでは一般的な分析目的・方法であるが、通常あまり実施されていないのが、「優良顧客商品支持率」の算出である。

 「優良顧客商品支持率」とは、購入金額や購入頻度が高い、高ロイヤルティの優良顧客が、当店のどんな商品、あるいはカテゴリーをよく選択しているかを知るための指標である。

 簡単な例をあげると、ホームセンターがペットフードの商品カテゴリーにおいて、優良顧客支持率を調べたところ、顧客全体と比較して「熱帯魚用えさ」の支持率が高かったとする。これは、当店のお得意様は、一般客より熱帯魚を愛好している方が多いということを意味する。(注意して欲しいのは、「熱帯魚用えさ」は、必ずしも商品データの分析では売上上位にあるとは限らない、という点である。

 この店が優良顧客を維持したければ、たとえ売上はたいしたことがなくても、「熱帯魚用えさ」の在庫切れには、他のペットフードより注意を払っておくべきだし、また「熱帯魚用えさ」の品揃えを広げることを検討すべきかも知れない。

 こうして優勝顧客商品支持率」に基づいて取扱商品を入れ替えていくと、自然に優良顧客向けの品揃えになっていく。いい意味で商品構成に偏りが出てくる。つまりその店に「個性」が生まれるのである。

 顧客のステータス(簡単に言えば、優良顧客であるかどうか)に焦点を当てて、コミュニケーション施策を統合的に管理するのがCRMのベースにあるのだが、CRMを実践すると、企業・製品の差別化、すなわち競争優位性の確立につながる。

 この考え方は、WEBサイト改善のためにも使える。自社にとって、獲得したい、あるいは維持したい「優良顧客」が求めているものを明確に把握し、サイトのコンテンツに反映させるということだ。八方美人的な万人向けコンテンツでは固定客はつかない。
 
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