Weekly Matsuoty 2001/03/27
10:90の法則
 
 タイトルを見て、「『20:80の法則』の間違いじゃないの」と思われた方も多いだろう。「20:80の法則(または、2:8の法則)は、顧客の2割が8割の売上、あるいは利益をもたらすという経験則で、要は、企業にとって大きな収益をもたらしてくれる優良顧客は全体の2割程度だということだ。

 「10:90の法則」は、口コミに関する経験則である。顧客のおよそ10%が、残りの90%の購買に大きな影響を与える、いわゆるオピニオンリーダーとして、口コミマーケティング上、重要な存在であることを示したものだ。

 この法則は、レジス・マッケンナ氏あたりが10年前ほど前から語っていたものだが、20:80の法則ほど知られた法則にはなっていない。まあ、そんなことはどうでもよくて、ここで強調したいのは、いわゆる、インターネットによって増幅された口コミ、すなわちバイラルマーケティングにおいて、この法則はますます重要な意味合いを持ってきたのではないか、ということだ。

 インターネット上に膨大な情報が氾濫する現在、率直に言って、我々は相当混乱している。どの情報を信用したらいいいのか、またどの商品を買ったらいいのかを決めるに際して、あまりにも判断材料が多すぎる。かといって、じっくり情報を読み込んで比較検討するほど暇じゃない。

 とすると、信頼できるその商品や当該カテゴリーを知り尽くした専門家に聞く以外に、購買を決める手段がほとんどないということを意味する。実際に利用している友人・知人に聞くのも有効ではあるが、いろんな商品を試しているわけではないので、どうしても偏った意見にならざるを得ない。

 とは言え、専門家の数は極めて限られている。したがって、バイラル・マーケティングの世界においては、ひょっしたら、「1:99の法則」といった経験則が語られ始めるかも知れない。

 この推測から企業側が得る示唆はひとつ。一握りの専門家から、自社製品に対する支援・承認を得られなかったら勝ち目はない、ということである。
 
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