Weekly Matsuoty 2000/09/26
Meaningless Differentiation - 無意味な差別化
 
 自社の商品を消費者に購入してもらうためには、他社と異なる特性やベネフィット(利用することで消費者がえる便益)を打ち出し、他社とのポジションの違いを明確にする必要がある。

 これが、これまでの「競争優位」を築くための差別化の基本的な考え方だった。

 ところが現実は必ずしもそうではない。ある商品が突然売れ始める原因を探ると、有名人をTVCFに起用した、ネーミングを変えた、パッケージデザインを変えた、といった、明確な特性や便益上の違いのない、端的に言えば「無意味な差別化」の結果であることが多い。

 こういったことは、これまでマーケティング上のギミック(単なる小手先の仕掛け)や「運が良かった」といった程度の扱いしか受けてこなかったが、多方面に応用可能なスキルとしてそろそろ体系化し、学ぶべき時期だろう。

 前回取り上げたが、サーチ&サーチのケビン・ロバーツ会長の言葉を思い出して欲しい。

 「広告がサイエンスであった時代は終わった。これからの広告は、消費者の心と企業のブランドを一生涯に渡って結ぶ、恋愛関係をつくることだ。広告会社が創造し、提供するアイディアは、より人間に近いエモーショナルで感性的なものでなくてはならない。」

 これまでの特性やベネフィットを中心とする製品本位の差別化だけでは、売れる時代ではなくなったのである。顧客と製品との永続的な関係づくりのためには、一見無意味に思える、感性や情緒、体験といった枠の中で、自社商品をうまく位置付けてあげる必要がある。

 キーワードは「経験マーケティング」だ。

 コロンビア大学ビジネススクールのシュミット教授が示す、経験マーケティングにおける戦略経験モジュール(Strategic Experiencial Modules)は次の5つである。

 ・SENSE
 ・FEEL
 ・THINK
 ・ACT
 ・RELATE
 「経験マーケティング」については、今後もさらに各論に入って取り上げていきたいと思う。

<参考文献>
Experiential Marketing, Bernd Schmitt,Free Press
http://www.amazon.com/exec/obidos/tg/detail/-/0684854236/qid=1036049576/
(邦訳版はまもなく刊行予定らしい)

Marketing Aesthetics, Bernd Schmitt/Alex,Shimonson,Free Press
http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/0684826550/qid=1036049698/
(邦訳版は、「エスセティクス」のマーケティング戦略、プレンティスホール出版)
 
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