Weekly Matsuoty 2000/01/11
プロファイリング
 
 プロファイリングというと、犯罪捜査を連想する方が多いかもしれない。単純な動機による犯罪ではなく、猟奇殺人などの、手がかりがつかみにくい状況で犯人を捜すため、犯罪の手口などから犯人像を推測し、それに合致する容疑者を洗い出すために行われる手法である。

 「踊る大捜査線」映画版では、「誘拐犯のプロファイリングの結果、犯人は、男性30代、文科系大学出身、生まれは××地方・・・」というシーンがあった。捜査担当の刑事は、この推定された犯人像に近い人間を過去犯罪者ファイル等から探すのである。

 実は、WEBの世界でもプロファイリングの技術が普及しつつあるのをご存知だろうか。ポイントは、WEB来訪者のWEBでの行動(閲覧したページの種類、内容など)から、来訪者の性別や職業、関心のある商品等をアルゴリズムに基づいて自動的に推測する、という点にある。つまり、来訪者の属性をアンケートなどによって直接相手に聞くのではなく、あくまで行動に基づいて推測するのである。

 このWEBにおけるプロファイリングは、主に来訪者の属性、関心に応じたバナー広告の表示(いわゆるバナー広告のパーソナライズ)に利用されており、かなりの成果をあげているようだ。ただ、これはこのような新技術の採用が進む米国の話であって、日本ではプロファイリングを本格的に利用しているところはまだほとんどない。

 現在、WEBでのパーソナライズの技術は、通常、ユーザーに対するアンケートから関心事項等を聞き出して、それに対応したコンテンツを表示させるというやり方が一般的だがヒトというものは気まぐれなもので、すぐに関心のあることは変わるし、また新たに興味を持つことが出てくるので、アンケートベースでの属性把握は回答時点から時間が経つほど、どんどん現時点での属性とのずれが生じてくる。

 そこで、アンケートベースでの属性把握と同時にプロファイリングによって、動的に変化する現時点での属性を捉えることができれば、より効果的なパーソナライズが可能となるのである。

 ただ、ここでやはり問題となるのが、「プライバシー」であろう。マーケティング畑の人である筆者としては、個人情報を収集すること自体が問題ではなく、その使い方が適正であるかどうか、が重要であると考えているのだが。

 これからのビジネスが、顧客との関係性を強化することを通じて収益性を高めていくべきであることは間違いないが、そのために最も大事なことは、「顧客をよく知っていること」なのである。つまり、個人情報の収集が基本なのである。したがって、プライバシーを配慮しながらも、より適切なパーソナライズ(顧客から見れば、欲しいものがタイミングよく提供されること)のための情報収集、活用には積極的に取り組むべきであると考えている。

 プライバシーに対する配慮については、別の機会に取り上げさせていただきたいと思っているが、プロファイリングのような技術の導入は本年、日本でも急速に進むと考えられるので、今後もプロファイリングについてより詳細な情報が入手できたら、このEメールで再度テーマにさせていただくつもりである。
 
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