Weekly Matsuoty 2002/07/29
70歳のキャリアカウンセリング
 
 キャリアカウンセリングの第一人者、筑波大学の渡辺三枝子先生は、老人の就職支援をやっているそうだ。70歳を超えた人々の働き口を探すこともある。

 70歳の老人に適した仕事はあるのか。ないことはない。あることはある。しかし、世の中の一般的な基準から見れば、決して良い仕事とは言えない、つらい単調な仕事しかないのが現実だと言う。

 つまり、70歳の老人にとって、「適職」を見つけるのはほぼ不可能である。したがって、意に添わぬ仕事であっても、それで我慢してやるしかない。

 だが、たとえ合わない仕事でも、そうして自分で納得して受け入れると、彼らには大きな変化が起こる。まず、自信が生まれる。がんばろうというやる気が出る。毎日の生活が張りのあるものになる。そして、ありのままの今の自分を受け入れることができるようになる。どんな仕事であれ、社会に対してなんらかの形での貢献をしているという、「仕事をする意義」を見出す。

 渡辺先生はこう言う。他の人は、こんな老人の就職支援を「職探し」の一言でを片付けるが、「これこそキャリアカウンセリングではないだろうか」

 さて、今まで述べてきたことは、老人だけの話で済ますのはもったいない。なにかとても大きな含蓄があるのではないだろうか。

 私の座右の書、「仕事は楽しいかね?」、および「仕事は楽しいかね?2」で繰り返し強調される言葉を思い出す。

 “仕事選びの大切な基準は、「今より幸せになれること」なんだ。”

当たり前のことをやさしい言葉で書いてあるだけなのに、やはり本質を突いた内容には心打たれます。
 
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