Weekly Matsuoty 2002/03/22
プロセス・コンサルテーション
 
 最近知ったのだが、カウンセラーやコーチング、コンサルティングを職業とする人々のことを「Helping Professionl」と呼ぶそうだ。「人助けのプロ」というわけだ。

 こんな言葉があるということは、人助けにも「プロ」と呼ばれるにふさわしいスキルが求められ、そのためにはかなりの学習と経験を積む必要があるということを意味していると言えるだろう。

 人助けなんて誰でも出来るよ、とおっしゃる方もいるかも知れない。でもよく考えると安易な人助けは相手を駄目にする。相手が欲しがっているものをただ満たしてあげるだけでは、依存心が強くなるだけだからだ。

 よく言われるように、お腹をすかせた人に食べ物をあげるのではなく、「魚の取り方」を教える方が、本人の自立を促すことにつながるのでより望ましい人助けの仕方である。(もちろん、場合によっては、すぐに食べ物をあげるべきであるような切迫した状況も当然あるが)

 「プロセス・コンサルテーション」とは、キャリア・アンカー理論で知られたエドガー・シャインMIT教授が説く、人助け=ヘルピングの方法論である。

 プロセス・コンサルテーションでは、「何をやるか」(What to do)、ではなく、「どのようにそれをやるか」(how to do)に焦点を当てる。つまり、どのような支援を行うかということではなく、どのようなプロセスで支援を行うべきかを説く。その根本にある哲学は、「支援される人が自ら自分を助けるための手助けをする」ということである。

 さて、私がこういったテーマに強い関心を持ち、いろんな形で追っかけている理由は、個人にとっての幸せは、「自分は自立している」という意識が前提として必要だと思っているからである。自立とは、自分の生き方、人生は自分で決めるという意識の有無である。たとえ自分自身ではどうにもならない運命に翻弄されたとしても、自立の意識があれば乗り切れる。運命は変えられないとしても、自分の生き方を決め、その結果を受け止めるのは自分以外にはありえないからだ。

 そして、そんな自立を手助けすることのできるプロになるのが私の夢である。

<参考文献>
Process Consultation Revisited Building the Helping Relationshipbr
Edgar H. Schein 1999, Addison-Wesley
*著者が組織開発の研究者だけに、カウンセリングというより、企業向けコンサルティングにおけるヘルピング手法の理論が主体です。
*白桃書房から邦訳版がまもなく出版されるるようです。
 
close