Weekly Matsuoty 2001/12/25
ゴールシーキング・モデル
 
 ふと、今やっている仕事を振り返ってみて、「これが、おそらく自分がやりたかったことなんだろうなあ・・」と思うことがある。

 新規事業開発の支援、WEBサイト開発のプロデュース、インターネット広告・プロモーションの企画や進捗管理等々、学生時代はおろか、社会人となってからも考えもしなかった仕事を手掛けている自分がいる。もっとも、当時の日本には、インターネットは影も形もなかったから、それに関わる仕事に就こうとは考えるはずもないのだが・・・。

 人一倍「キャリア」について考えたりすることが多かった私がいつも思うのは、小さい頃から将来やりたいこと、なりたい職業がはっきりしている人は幸せな人だ、ということだ。しかしそんな人は少数派である。

 ほとんどの人は、とりあえず短期的な判断や気まぐれや偶然や人の縁によってさまざまな出会いや経験をしていく。そうして、ある日、自分のやっていることを振り返ってみて初めて、それが、おそらく自分が求めていたものであることに気づく。

 つまり、多くの人にとって、「ゴール」(目標)は明確ではない。だから、その時その時で自分にとって最適と思う行動を起こし、うまく行かなければ方向転換をし、別の道を試してみる。このような、試行錯誤的行動をしながらゴールを探し続ける。

 キャリア(もしかしたら人生そのものも)とは、明確なゴール(目標)がまずあって、それを達成しようとするのではなく、ゴールを探し続ける(シーキング)ようなものかも知れない。すなわち、「ゴールシーキング・モデル」に沿うということだ。

 実は、新規事業も「ゴールシーキング・モデル」に沿うことが多い。ゴールが見えているようで見えていない、なにしろ先例のないところで、無から有をつくり出すものだからである。

 以前にも書いたが、机上の空論だけで書かれた事業計画書は実施に移ったとたん、8割は意味を持たなくなる。残りの2割でさ、えどんどんとその価値を失っていく。かろうじて残るのは、その事業にかける夢(たいてい漠然としている)だけだ。

 「夢」は、何度壁にぶつかろうと、とにかく動きつづける力を与えてくれる。

 楽観的な見方かもしれないし、運の良し悪しもあるだろうが、ゴールを探して動き続けていさえすれば、いつか、ゴールに到達していることに気付く瞬間が来る。

 何事にもゴール(目標)がなければならないという窮屈な束縛は捨てよう。そして、立ち止まることだけは避けたい。
 
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